8. ティーの緑はなぜくすむ?

ブレンドの背後にある科学

前回は赤い色素 アントシアニンについて、でした。

今回はティーの緑色 ”クロロフィル ”についてです。

前回でも触れた、アントシアニンの赤とは違い、
緑の色をつくっている成分”クロロフィル”は、少し扱いが難しい色素です。

クロロフィルは、植物の葉の緑そのものといってもよい色素です。

日本では葉緑素として、小学校などで習いますよね。
実は私は、こう言う仕事をする前はすっかり忘れてました。
(葉緑素は 光を吸収し、光合成を通して、酸素を作り出す働きを持っています)

けれど、この植物の緑はハーブティーにすると、濃い緑色で抽出される事はありません。
緑茶の様に、ほんのり緑色になる事が殆どです。

その理由は、クロロフィルがとても繊細だからなんですね。

と、ここまで聞くと、抹茶って濃い緑やん!と思う方がいるかもと思います。

実は、抹茶の緑やハーブティーの中でのクロロフィルは、
水に溶けているわけではないんですね。
葉の中から出てきたクロロフィルの細かな粒が、
水の中に浮かんで、見えているだけなんですね。

クロロフィルは
植物の中では守られて働いていますが、
葉から出てしまうと、とても弱くなる。
なかなかの繊細さんですよね。

豆知識と言っては何ですが、
皆さん、聞いたことありません?。
ハーゲンダッツの抹茶味は、あの緑の色を保つために、
光の影響を受けにくい環境で管理されて作られている、という話。
明るい場所では、あの色を残しにくいそうです。
また、包装容器にも遮光性の高いものが使われていると聞いた事があります。

また、クロロフィルのもう一つの性質として、熱と酸に弱い、と言うことも重要な性質です。
お湯の温度が高すぎたり、
レモンなどの酸が加わったりすると、
鮮やかな緑はすぐにくすんだ色へと傾きます。

抽出してから置いておくほど、
緑は落ち着いた色合いへと変わっていきます。
時間がたつことで起こる酸化も、
くすみを進める原因のひとつなんですね。

アントシアニンが条件に敏感に色を変える色素だとすれば、
クロロフィルは、やさしく扱った方がきれいに残る色なんですよね。

抹茶のあのきれい〜な緑を保つための技術は、
日本ならではの、繊細な職人ワザだと言えますよね。すごい!



次回は 第9話「緑をきれいに出したい時の考え方」です

今日のひと言:
ハーブティーの緑は、繊細さん。
デリケートに扱ってあげましょ、ぞよ🥷




茨城県ひたちなか市 ”どうぞさんのハーバルスタジオ” でした。