ポリフェノールは、苦味や色素の成分で、自然界に4000種類以上あると言われています。ポリフェノールは活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える抗酸化物質で、近年注目を集めている成分です。
ポリフェノールのポリは「沢山」の意味ですので、ポリフェノールはフェノール(図1)が沢山あるものの意になりますが、一般的に言われるポリフェノールはフェノール性水酸基(ヒドロキシ基 OH)が2個以上存在する化合物をさします。近年よく耳にするフラボノイドはポリフェノールに含まれます。

図1 フェノール

ポリフェノールの一例

  1. ドクダミ、蕎麦など・・・に多く含まれる フラボノイド・・・クェルセチン。
    毛細血管透過性抑制作用(毛細血管に作用し、血管抵抗値を増強することにより脆くなった血管を強化し、止血作用を示します)や抗炎症作用を示すことが知られています。クエルセチンに糖がくっついたものが、ルチンで蕎麦に多く含まれる事は知ってる方も多いのではないかと思います。
  2. ジャーマンカモミール、セロリなど・・・に多く含まれる フラボノイド・・・アピゲニン、ルテオリン。
    抗炎症作用、抗アレルギー作用などを示す事で知られています。
  3. 柑橘系の果皮など・・・に多く含まれる フラボノイド・・・ナリンギン。
    果物の果皮に含まれる苦味成分で、毛細血管透過性抑制作用(毛細血管に作用し、血管抵抗値を増強することにより脆くなった血管を強化し、止血作用を示します)、抗炎症作用で知られています。
  4. 大豆など、マメ科植物に多く含まれる フラボノイド・・・イソフラボン。
    女性ホルモン作用を有することから、骨粗相症治療薬が開発されています。また鎮痙作用。血糖降下作用が認められています。
  5. ビルベリー、ブルーベリー、カシスなどに多く含まれる フラボノイド・・・アントシアニジン
    ビルベリーは第二次世界大戦中、英国空軍のパイロットがビルベリーのジャムを食べておくと視界が良いと証言した事などから、目のピント調節効果がある事がしられていました。ビルベリーなどに含まれるアントシアニジンは毛細血管の血液循環に効果に関係がある事が知られています。また最近では、紫外線によるメラニン色素から細胞を守ってくれる働きなども報告されています。アントシアニンは、アントシアニジンに糖がくっついたもの。
  6. ゲンノウショウコ、ワイン、緑茶、紅茶などに多く含まれるフラボノイド・・・タンニン。
    タンニンはワインなどに含まれる事はよく知られていますが、タンパク質、金属などと強い親和性(容易に溶けあう)を示し、難溶性の沈殿を形成をするポリフェノールです。タンニンは植物に広く分布し、収れん作用以外にも、止瀉、抗酸化、抗ウイルス、抗腫瘍作用など、報告されています。詳しくはタンニンを参照して下さい。
    6-1 緑茶など・・・に多く含まれるタンニン カテキン。
    カテキン、特にカテキンの中でもエピガロカテキンガレートは、抗酸化作用、抗がんン作用、アルツハイマーの原因とされるβーアミロイド生成抑制作用、抗動脈硬化、インフルエンザ感染抑制など、様々な効果が報告されています。
  7. ショウガ科植物、ウコンなど・・・に多く含まれるクルクミン。
    抗酸化作用があるため、バター、チーズなどの食品の酸化防止などに用いられています。飲酒などによる肝臓保護作用、利胆作用、コレステロール値の低減などの報告がなされています。
  8. コーヒー、ゴボウ、エキナセア・・・などに含まれるクロロゲン酸
    抗酸化作用、血糖値上昇の抑制など,効果が期待でき、近年研究が進んでいます。
  9. 赤ワインなど・・・に含まれる スチルベン レスベラトロール
    美食家であるフランス人になぜ心臓病が少ないか「フレンチパラドックス」を証明する化合物がこのレスベラトロールであるとして、話題になりました。米国のマウス実験で高脂の食餌と一緒にレスベラトロールを投与したところ血中の糖濃度が低下し、平均寿命が延びたとの発表に注目が集まりました。
  10. ローズマリーなど、シソ科に含まれる ロスマリン酸
    抗酸化作用や抗炎症作用があり、アレルギー反応を抑える働きがあります。近年では、脳の機能や健康を維持する働きがあることも研究で明らかになっています。
ケルセチン
アピゲニン
クロロゲン酸
レスベラトロール

構造式はWikipediaより引用