緑茶の抗菌テスト
−アバウトだけど自宅でやってみた−
幸い自宅に発酵器があったので、酵母を購入し、アルコールで抽出した緑茶液とそうでない液で酵母の発育具合にはどれくらいの差がでるのだろう、と実験してみました。自宅でやるものだし、条件などもアバウトですので正確な結果とはいかないのですが、ちょっと面白い結果がでたのでご紹介しますね。
ちょっと複雑な説明になるのですが、緑茶はチンキを作るアルコール度数によって、抽出されるカテキンの種類が違います。
カテキンは主に4つの種類があり、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレード(ECg)、エピガロカテキン3-O-ガレード(EGCg)となるのですが、
なかでも無水エタノールで主に取れるカテキンはエピガロカテインガレートといって抗菌作用が一番強力と言われていますので、無水エタノールで抽出した緑茶液が一番酵母の発育を送らせる結果になるはずなんだけどなぁ・・・との期待のもと、始めました。
⑴緑茶を粉末にし3種類の溶液(2週間漬)を作りました。【左から①無水アルコールに漬けたもの ②ウォッカに漬けたもの ③精製水に漬けたもの】。 (写真1)
⑵それを培養する培地(寒天1g、コンソメ1g、水100cc)に、麹菌を均等に振りかけ、
⑶溶液を脱脂綿に浸して中央に置き 37℃の発酵器で麹菌の繁殖の様子を観察してみました。
なお、アルコールにも抗菌の作用があるため、純粋な④無水エタノール、⑤ウォッカ、ついでに⑥精製水
も脱脂綿に含ませ、実験に加えました。(写真2)
家庭での実験ですので結果がでるか疑心暗鬼でしたが、明らかに茶の無水エタノール溶液の麹菌の繁殖は遅く、抗菌作用が強い事が覗え、溶液でない無水エタノールと比べても歴然と差が出たことは驚きでした。(写真③,④)
無水エタノールのチンキでは、緑茶は鮮明な緑色をしている。隣はただの無水アルコール。ちょっと分かりにくいが、上部にフンワリ麹菌の繁殖が見られる。ウォッカのチンキも表面に薄い麹菌の繁殖はみられたが無水エタノール単独の物よりは繁殖が抑えらているようにみえた。精製水にお茶を浸した物では、大きなブツブツとした麹菌の繁殖がみられた
コロナのこともあって、除菌などにも注目が集まる日々ですね。無水エタノールで作った緑茶チンキを消毒液として利用するのもありだろうと思います。(但し、消毒に使う場合は、無水エタノール70、水30の割合位に調整してご利用下さいね)。
−カテキンをちょっと詳しく−
ピカテキン(EP)はリンゴなどにも存在しますが、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレード(ECg)、エピガロカテキン3-O-ガレード(EGCg)はお茶特有のカテキンです。特に抗酸化が強いのがエピガロカテキン3-O-ガレードで全カテキンの45-65%前後含まれ、同じく抗酸化作用で知られるビタミンEの20倍、ビタミンCの80倍と言われています。
EGCgが健康にどのように関与しているかなど、現在様々な研究がなされているようです。心臓病の原因の一つとされるLDL(悪玉)コレステロールにカテキンの持つ抗酸化作用がどのように働くかについても様々な実験がル様ですが、ここでひとつご紹介します。高コレステロール食に、EGCgを添加して与えたラットと、与えてないラットの血中コレステロールへの影響を調べると、高コレステロール食のみを与えたラットはLDLが増加し、高コレステロール食と同時にEGCgを摂取したラットは、LDLが減少したとの報告がなされています(「三井農林 お茶科学研究所」)。
EGCgを効果的に摂取するには
抗酸化に働くカテキンは、冷水には溶けにくい性質をもっています、お湯での抽出の方が望ましい事になりますが、強い渋みを持ちます(玉露、高級煎茶は低めのお湯で、煎茶、番茶は高めのお湯で抽出を推薦しているのはそのためです)。特にEGCgを身体にとりれるためには、アルコール度数の高い、無水エタノールで抽出するのが効果的ですが、無水エタノールは食用ではありませんので、スピリッツ(アルコール度数98%のお酒)で抽出し、緑茶に数滴垂らして飲むなども効果的かと思いますし、緑茶を粉末にしてふりかけにしそのまま食するなども、効果的かと思います(こちらが簡単ですかね(^o^))。